甘氏（カンシ）とは？
甘氏は、劉備の妻で、蜀の第二代皇帝の劉禅の母です。
夫の劉備の消息を心配して泣く甘氏
曹操から劉備は攻められて、関羽は一時的に曹操へ降伏します。
その後、甘氏・糜氏と関羽は曹操のもとで、夫の劉備の消息が分からないまま日が過ぎていきます。
ある日、二夫人が「泣きながら卒倒した」と聞きます。関羽は急いで夫人のもとに駆けつけ、なにゆえに泣いて悲しんでいるのかを聞くと、
甘氏「わたしは昨夜、皇叔（劉備）が落とし穴におちる夢をみました。
夢の意味を糜氏と話しあい、
きっと皇叔はすでに亡くなられている、と泣いていました。」
というので、
関羽「夢はあてにならないものです。心配なさいますな。」
と二夫人を元気づけます。
またしばらく経ってから、甘氏が劉備の消息について尋ねると、関羽は「まだです」と答えます。
関羽が帰った後で、甘氏・糜氏は、
「きっと、皇叔は亡くなられたのです。
わたしたちを悲しませないようにと本当のことを言わないのです。」
と泣きはじめます。
じつは、関羽は劉備が袁紹のもとにいて生きていることを知っていましたが、情報が漏れないようにと夫人たちに黙っていました。関羽は、夫人たちに劉備が無事であることを打ち明けました。
泣く甘氏たちの扱いには、豪傑の関羽もさすがに困ったのではないかと思いますね。
蜀の第二代皇帝の劉禅の母
甘氏は、無事劉備との再会を果たし、207年に荊州で劉禅を生みます。
長坂坡の戦いでは、 糜氏が阿斗（劉禅の幼名）を守るために、趙雲に阿斗を託し、井戸に身を投げました。
一方、甘氏は趙雲に救われて、阿斗（劉禅）と共に助かりました。
209年に、甘氏は亡くなりました。
その後、甘氏の子である劉禅は、劉備のあとを継いで蜀の第二代皇帝となっています。