甄氏(シンシ)とは?
甄氏は、絶世の美女で、袁煕の妻です。曹操に攻め落とされた後は曹丕の妻となりました。子の曹叡は魏の第二代皇帝。
袁煕の妻、後に曹丕の妻に
甄氏は、その美しさのために国を滅ぼす帝王がいてもおかしくないほどの美貌の持ち主だったといいます。
はじめは、袁紹の次男・袁煕に甄氏は嫁ぎます。
ところが、甄氏がいた城を曹操が攻め落とされた時に、一番乗りした曹操の息子・曹丕は、屋敷の中で泣いている二人の婦人を見つけます。
曹丕「おまえたちは誰だ?」
と、泣いている婦人に聞きます。婦人のひとりが、
劉氏「わたくしは、袁紹の妻の劉氏でございます。」
と答えました。さらに、
曹丕「こっちの女は何者だ」
との問いに、劉氏は答えます。
劉氏「こちらは、次男の袁煕の妻の甄氏にございます。」
泣いている二人の婦人は、ひとりが袁紹の妻・劉氏で、もうひとりはその息子の嫁・甄氏でした。
きっと、曹丕は泣いている二人を見つけた時から、美しい甄氏に気付いていたのでしょう。劉氏の答えに「おまえに聞いているんじゃない」と思ったとか思わないとか…(笑)
そして、遅れてきた曹操へ劉氏から『甄氏を曹丕に差し出す提案』があったので、曹操は、曹丕が甄氏を娶るように命じたとのことです。
実はこの時点では、甄氏の夫である袁煕はまだ生きています。
袁煕が公孫康に斬られるのは、少し先のことですから、まだ未亡人ではありませんでした。
甄氏、無実の罪で夫の曹丕から死を命じられる!
甄氏は曹丕の妻となって、やがて曹叡という男子が生まれました。この曹叡は、後に曹丕の後を継いで、魏の第二代皇帝となり人物です。幼少の聡明な曹叡を曹丕はとてもかわいがったといいます。
ところが、大変美しい甄氏ではありましたけど、新たに後宮へ入った郭氏に、曹丕の心を奪われてしまいます。
郭氏も美しい女性であったといいますので、妻はやはり新しい方がよかったのでしょうか。
郭氏は、甄氏に代わって自分が正式な后になりたいと、甄氏をおとしいれるための偽りを曹丕に吹き込みます。
この偽りの報告によって激怒した夫の曹丕から、無実の甄氏は死を命じられました。
実母の甄氏が亡くなった後は、その死を企てた郭氏によって、子の曹叡は育てられたといいます。